帰省物語8-晩酌 

日本酒の画像


 お父さん
「ほう、お前が晩酌のお付き合いしてくれるなんて、初めてやな 


 頑固オヤジが『相好を崩す』とは、まさにこんな事を言うのでしょう 





 お父さん
「母さん、今日はお銚子二本にしてもらおうかな 


 お母さん
「あかんよ。
お医者さんから、一本って決められとるんよ (-"-)」





 そう怒られても、今日の頑固オヤジは終始ニコニコ 


 「オヤジ太鼓」が轟く素振りさえありません 


 コチサは、不器用な手つきで「トクトクトク」と注ぎ足します 


 「トクトクトク」のリズムがなかなかつかめずに、勢いよく徳利から熱燗が飛び出し、お父さんの手にかかる事がありますか、それでも相好を崩したオヤジは、その手の甲を美味しそうにすすり、幸せなほろ酔い気分を満喫しています 





 コチサ
「小さい頃は、お酒を飲むお父さんがだったよ 


 お父さん
「東京に出て、たくさんの酒飲みを見て、考えが変わったか?」


 コチサ
「ううん。
東京でもコチサはお酒の席には行かないし、万が一言っても、お酌なんてしたことがないんだ 


 お父さん
「お前は、筋金入りの呑兵衛嫌いやな (^_^;)」


 コチサ
「うん 


 お父さん
「ワシも昔は相当な呑兵衛やったからな (/_;)」


 コチサ
「うん。
お母さんには迷惑をかけたと思うよ。
でも若くして見合いをさせられて、田んぼと畑と両親と子どもを全部背負って、たぶんお酒が唯一の逃げ道だったんだよ 


 お父さん
「ワシは逃げたことなどあらへん (ー_ー)」


 コチサ
「うん。
でもそういう意味の逃げ道じゃないんだよ 
お父さんは、夜中に酔っ払って帰って来て、土間で寝てしまっても、必ず夜明け前には起きて田んぼに出かけた。
それを二日酔いのせいにして休んだことなど一日も無かったよ。

はい(トクトク)」


 お父さん
「今は、このお銚子一本がちょうどええ。
お前も一本だから、晩酌に付き合うていられるんや。
これが三本四本となったら、我慢の利かないお前のこと、さっさとげ出しておるで (#^.^#)」





 トクトクトク…


 クイッ、クイッ 


 トクトクトク…


 クイッ、クイッ 





 お母さん
「ふたりで、ええ話をしているところを恐縮やけどな。
さっきのお前の話で解せないところがあるんや。
お前『若くして見合いをさせられて』言うたな。
ワタシに失礼やないか。
ワタシは無理やり見合いをさせられて来た嫁か (ーー;)」


 コチサ
「違うよ、うよ 
お父さんもお母さんも若くして見合いをさせられたのは、時代のせいだよ。
でもふたりは見合いをさせられなくても、ちゃんと出会う運命だったというくらいお似合いなふたりだから良かったねと言っているんだよ 


 お母さん
「そうか、それならええ (*^^)v」





 親孝行、たまにするから、やれるだけ 


 毎日だったら、たまんない 


 ふー 


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