一本のもりそば 

お箸の画像


 ある日、目を覚ますと、
目の前に一本のお蕎麦がぶら下がっていました 


 コチサ
いただきます 


 思わず吸い付きましたが、そのお蕎麦は、
それはそれは長いお蕎麦だったので、
なかなか吸いきれません 


 コチサ
チュルチュル、チュルチュル 


 玄関を出て、大通りを抜けても、
まだまだお蕎麦はびています 


 コチサ
チュルチュル、チュルチュル 


 商店街の靴屋のオジサンが、
どう? かってる?
と元気に声をかけてくれますが、


 コチサは口を尖らせ、首を突き出し歩いているので、
片手をあげて
ぼちぼちでんがな
とジェスチャーで応えるのみです 


 コチサ
チュルチュル、チュルチュル 


 横断歩道で待っている間も、目の前を走る車が、
お蕎麦を引きちぎらないかとひやひやものです 


 コチサ
チュルチュル、チュルチュル 


 角を曲がった三軒目のドアが開いており、
どうやらお蕎麦はそこから伸びているようです 


 口がいっぱいなので、
お邪魔します
の挨拶も出来ずに敷居をまたぐと・・・


 あまり好きじゃない顔が、
いらっしゃい。よくたね 
と迎えてくれます 





 とりあえず、
蕎麦つゆと蕎麦湯をもらって落ち着いたコチサは、
シブシブと寝巻きの腹巻の中から、
虎の子のおを取り出します 


 不動産屋のおじさん
毎度ぉ~、これで今月も
家賃滞納しないで済んで良かったでしょ
 


 こうして、あまり好きじゃないけど
優しい不動産屋のおじさんのおかげで、
コチサは今月も無事に家賃を払うことが出来ました 


ざる蕎麦の画像



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