最初はグー 

子どもの画像


 日曜日の午前11時過ぎ、買い物袋を下げたお父さんと三才くらいの女の子が、
じゃんけん」をしながら競争をしています 





 コチサの子どもの頃も、お友だちとよくやった遊びです 


 グーで勝つと、『グ・リ・コ』と言って三歩進めます 


 チョキで勝つと、『チ・ヨ・コ・レ・イ・ト』 


 パーで勝つと『パ・イ・ナ・ツ・プ・ル』と言いながら、それぞれ六歩ずつ進めるという遊びです 





 ここでは、女の子が小さいせいか、それとも時代が変わったのか、
パーで勝つと五歩、チョキで勝つと二歩、グーで勝つと一歩だけ進めるルールのようです 





 「最初はグー! 


 女の子の元気の良い声が、乾いた空に響き渡ります 


 「ジャンケンボン、、、あー 


 負けてしまった女の子は、そう言ってを仰ぎます 


 なぜか女の子の分は悪く、女の子とお父さんの距離は、次第に大きく開いて行きます。


 「最初はグー! 


 悔しさを打ち払うように女の子のは、どんどん大きくなっていきます 





 ところが、、、





 お父さんはお父さんで、女の子が距離を縮めやすいように、わざとグーばかりを出すのですが、
この女の子はそれに気づかず、チョキばかりを出してきます 


 お父さんが、「じゃぁそのままチョキを出し続けてくれよ」と祈りながらパーを出した時に限って、
女の子はグーを出して、お父さんは五歩進まざるを得ません 


 その光景が、かわいそうでもあり、微笑ましくもあり、コチサは目が離せません 


 女の子は、『ピヨピヨサンダル今はこんな呼び方はしないかも^m^)』を履いていて、
勝利の時は、満面の笑顔と共に『ピヨピヨピヨ』と進みます 


 しかし、なかなかこのピヨピヨ行進曲がかからないのです。





 女の子の顔は、だんだんゆがんできています 


 必死でをこらえている様子が手に取るようにわかります。


 でも実はこんな時、一番辛いのはお父さんでしょう 


 「娘よ、頼むから勝ってくれ
と出すグーチョキパーがことごとく目に出るのです 





 「最初はグー! 


 女の子の声は悲鳴に近くなっています。


 「あー 


 天を仰ぐ姿は、若くして地球上の悲劇を一身に背負った人間のようです 





 暫くその光景を見ていたコチサも、少しいたたまれなくなって、
背を向けて歩き出した時の事です。





 「うわ~ん! 


 とうとう耐え切れずに泣き出した女の子の声が、天をつんざきました 


 そして、父親に向かってひたすら走る「ピヨピヨピヨピヨ」という行進曲・・・





 いったん足を止めたコチサですが、お父さんの胸に飛び込み、
抱きしめられた音を確認したので、振り返らずにそのままき出しました 


 もうその後の光景は見なくてもわかるからです 





 お父さんは、片手に女の子、片手に買い物袋を抱え、お母さんの待つお家に帰る事でしょう 


 家ではお母さんが、「遅い買い物だなぁ」と首を長くしながら
テーブルにお皿を並べて待ちくたびれているはずです 


 女の子は、今日のことを大人になってもえているはずです 


 『どんなに距離が離れても、
怖くなったり不安になったら、
泣きながら走っていけば良い。
家族はいつも、そこで両手を開いて、
待っていて、受け止めてくれるんだ

と・・・


コメント:

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する