チーン 

夕暮れの歩道の画像


 夕方の住宅街を歩いていると、『チーン』というお鈴の音、
そして暫くすると、少しだけ開け放たれた窓からお線香の香りが漂ってきました 





 コチサ
「仏壇の前で朝夕のお線香をあげることが、
日々の日課から離れて幾久しい月日がれたことでしょう 


 和尚
「一人暮らしをされていれば、ご自宅に仏壇はないでしょうからね(^^)」





 子どもの頃は、どこの家にも大きな仏壇がありました 


 毎日、朝食前と夕食前に、お水とお茶とご飯を供えてお線香をあげるのが
当たり前のことだと思っていました 


 コチサにとって、お鈴の『チーン』という音、そして鼻腔をくすぐる線香の香りは、
食事の合図でもありました 





 コチサ
「だからいつもお鈴の『チーン』に対して、
条件反射でお腹が『グー』と鳴ったものでした 


 和尚
「本来、心を清め落ち着かせる『』のお鈴の音が、
食欲を活性化させる『』の役目を果たしたんですね(^^)」


 コチサ
「仏さまに失礼なことをしたのでしょうか 


 和尚
「いや、愉快なお嬢さまと、仏さまも笑っておいでのことでしょう(^O^)」





 と、ふざけてはみたものの、久しぶりに聞いたお鈴の音は、
和尚の言う通り『心を清め落ち着かせる』効果がありました 


 それと共に、強烈な郷愁の念に駆られました 





 コチサ
「朝のお鈴の音とは違って、夕方の空に響くお鈴の音は、
どこか寂しさと清らかさがあります 


 和尚
「感じ方は人それぞれです。
あなたにはそう感じる思い出があったということでしょう(^^)」


 コチサ
「和尚、そういえば今思い出したけど、コチサはおが読めるんですよ 


 和尚
「それは、それは(*^^)」





 夕方になると、おばあちゃんは、仏壇に新しいお水とお茶、
そして炊き立てのご飯を供えて、お経を読んだものでした 


 そんなおばあちゃんの横に座ったコチサは、おばあちゃんの口真似をしているうちに、
いつの間にか、おばあちゃんと一緒にお経をむようになっていたのでした 





 和尚
「まさにそれこそ、『門前の小僧、習わぬ経を読む』ですね 


 コチサ
「もう、すっかり忘れちゃいましたけどね(^_^;)」


 和尚
「そんなものですよ。 私も三日読まないと忘れてしまいます 


 コチサ
「それ以前に、三日もお経を読まないのは、お坊さまではありません<`ヘ´>」


 和尚
「まぁ、私はそんなに真面目なお坊さんではないので勘弁してください 


 コチサ
「お鈴の音やお線香の香りに、郷愁の念が反応しちゃうっていうのは、
やっぱりコチサは、昭和の人間なんですね。
別に信仰心があるわけじゃないけど、実家に帰れば真っ先に仏壇に挨拶をするし・・・(-"-)」


 和尚
「『』なのですよ。
変わらぬものはないと言いますが、本当のところは『』なのですよ。
変わるというそのものが『』なのです 


 コチサ
しすぎるよ 


 和尚
「夕方に住宅街を歩いたら、お鈴の音とお線香の香りがした。
そして懐かしい思いが湧いてきて、秋の日のこんな夕暮れも重なって少し寂しくなった
・・・そういうことですよ 


 コチサ
「はい(ーー;)
そして条件反射でやっぱりお腹が空きました 


 和尚
「じゃぁ、カレーでも食べに行きませんか?
私、カレーが好きなんですよ 


 コチサ
「一汁一菜じゃないんですか?」


 和尚
「カレーが食べたいときは、カレーを食べれば良いんですよ 


 コチサ
「お供します 





 秋の夕暮れ、鳴り響くお鈴のと、曇天の空にゆらゆらと立ち上る線香の 


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