惹かれる 

椅子の画像


 保子(やすこ)おばあちゃんは、100歳を過ぎています 
正確には102歳かな?


 介護施設で知りあったおばあちゃんです 


 本当は、『保』と一文字で『やすこ』と読むそうです。





 保子おばあちゃん
「男の子じゃなかったから、お父さんが怒って役場に『保』って一文字で届けたの。
でも女の子だから、後から『やすこ』って読ませるようにしたのよ 





 102年前の話です 


 きっと、そんな時代だったのでしょう。


 でも100年以上も前の話を、こうして生の声で聞かされるのは、素晴らしい事です 





 保子おばあちゃんは、いつもロビーで週刊誌を読んでいます 


 今回は「女性自身」を読んでいました。


 写真やイラストのページはあまり好きじゃないらしく、
文字が詰まったページを読んでいます 





 コチサ
「保子さんは、老眼鏡もかけないで小さい字もきちんと読めるんですね。
コチサは、最近、小さい文字が読めません 


 保子おばあちゃん
「私は、目も歯も耳も足腰もみんな丈夫なのよ(#^.^#)」


 コチサ
「保子さんは、いつもおしゃれで、とっても魅力的です。
みんな保子さんの魅力にかれっぱなしですよ 


 保子おばあちゃん
「ねぇ知ってる? 『かれる』って『若い心』って書くのよ(^^)」


 コチサ
「ホントだぁ~


 保子おばあちゃん
「いつまでも若い心を持っている人は、惹かれるのよ。
私はいつまでも魅力的でいたいからね(*^^)v」





 そう言って、保子おばあちゃんは、読んでいる週刊誌からいろんな文字を指差し、
その由来を教えてくれました 


 保子おばあちゃんは、週刊誌の記事の内容には全く興味がなく、
ただ文字を眺め、その由来を考えているのが大好きなんだそうです 


 コチサの周りには、たくさんの元気なお年寄りのお友だちがいます 


 そして、この保子おばあちゃんは、その元気なお友だちの中の最年長さんです 


 老眼にもならずに、耳もよく聞こえ、元気なジェスチャー入りで話す姿は、
まるで同年代の人とお話しているようです 





 コチサ
「秘訣はあるんですか 


 保子おばあちゃん
「無いわよ。たぶん『』なのよ(^O^)」


 コチサ
「運?」


 保子おばあちゃん
「そう『運』。健康なのも『運』。
いろんなことに興味を持って「若い心」でいられるのも『運』(*^_^*)」


 コチサ
「じゃぁ保子さんは、たまたま運が良かったって事ですか? まさかぁ~」


 保子おばあちゃん
運よ、運。それに運には良いも悪いもないわ。幸せも不幸せも無いのと同じよ 


 コチサ
「・・・」





 その数日後、別の特養ホームで、まだ70代のおじいさん
二ヶ月ぶりの対面をしました 


 毎回、優しい言葉をかけてくれて、お芝居も先頭席で見てくれる、
穏やかな笑顔が魅力のおじいさん・・・というよりおじさんです 


 今回も、ニコニコ笑ってコチサの前にやってきましたが、その目はコチサを見ていません 


 笑顔も雰囲気も、いつもといます 





 スタッフさん
「この二ヶ月で、一気に認知症が進みました(・.・;)」


 コチサ
「コチサの事はわかってないのですか?」


 スタッフさん
「コチサさんだけじゃなく、誰もわかってないと思います」


 コチサ
「たった二ヶ月でですか?」


 スタッフさん
「たった二ヶ月でです(・_・)」





 コチサは、いろんな事がわからなくなってきました 


 保子おばあちゃんの言葉がってきました。


 「運よ、運。それに運には良いも悪いもないわ。幸せも不幸せも無いのと同じよ 


 いつか、この意味がわかるのかな 


 それまでは、保子おばあちゃんのように「若い心」を持って、
魅力的なかれる人間になるように努めていこう 


 そうしたら、いつかきっと、保子おばあちゃんの言葉の味がわかるはず 


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