ハンチング 

ハンチングの画像


 昔は、一族には必ず『フーテンのさん』のような人がいて、
親戚一同から『変わり者』と煙たがられていたものです 


 でもその『変わり者』が、完全に一族から孤立しないのは、
下の世代にとっては『話の解るおじちゃん、おばちゃん』だったりするからです 


 大人たちからみれば、「精神年齢が低いから、子どもに慕われるんや」と、
嫌みのひとつも言いたくなるくらいの人気です  


 コチサも子どもの頃、いつもハンチングを被って田舎の畦道を優雅にカッコ良く歩く
アヤノリおじさんが大好きでした 





 幼少コチサ
「アヤノリおじちゃん、ぼ 


 アヤノリおじさん
「おう、どこの誰か思うたら、コチサことサチコやないか。よし遊ぼ 


 コチサ
「なぞなぞがいい 


 アヤノリおじさん
「よし、じゃぁ問題出してみい(^^)」


 コチサ
上は大水、下は大火事、な~んだ?」





 いかにも定番の田舎のなぞなぞです 


 それでもアヤノリおじさんは、一応悩んだりヒントをもらったりとか盛り上げてから、
「わかった、お呂やろ」と答えを出してくれます 





 コチサ
「当ったりぃ~! じゃぁ次はおじちゃんが出して 


 アヤノリおじさん
世の中には、自分自身には、たくさん使うべきだけど、
人には決して使ってはいけない言葉がある
、な~んだ?」


 コチサ
「(な、何それ?)」


 アヤノリおじさん
「答えはひとつではないからな。たくさんあるから、ゆっくりえてな 





 ある時の集まりの席で、お酒の勢いもあって、アヤノリおじさんがやり玉にあげられました 


 当時、皆が親の畑を継いでいくのが当たり前という時代の中で、ひとり事業を興し、
我が道を行くアヤノリおじさんを、親族が理解できないでいるのは当然の事でした 


 おまけにアヤノリおじさんは、その時点で、7回事業を興して7回失敗しており、
金銭的に困窮している状況だったので、やり玉に挙げられても当然と言えば当然の状況でした 


 大叔父
「まったく助けてやる気にもならん『自業自得』や(-"-)」


 吐き捨てるように言うその言葉を聞いて、アヤノリおじさんはにっこり笑って、
コチサに向かって大きく口の動きだけで、
これや、これ。なぞなぞの答えのひとつや 
そう言いました。





 アヤノリおじさんは、その何十年か後の冬の朝、田んぼに倒れているのを発見され、
親族一同とは永遠のれをする事になりました 


 お酒に酔って足を踏み外したんだろうということでした 


 結局アヤノリおじさんは、13回事業を興して13回失敗して生涯を終えました 


 『自業自得』、アヤノリおじさんはこの言葉の重みを誰よりも知っていたんだと思います 


 自らにその言葉を罵声のように浴びせ続けながら、
転んでは立ち上がり、またんでは立ち上がって来たのでしょう 


 なんのビジョンもないドン・キホーテなら、さすがに同じ過ちを13回も繰り返さなかったでしょう 


 失敗を『自業自得』として自らをめ、自分で自分をとことん打ちのめしたからこそ、
また新しく、次への道を立ち上げることが出来たのだと思います 


 自らにではなく人に『自業自得さ』と言ってはいけないのは、
聞いている周りが良い気持ちがしないだけではなく、言われた方は、とっくにそんなことわかっていて、
次に向かって精進している最中なので、言葉自体に何の意味も持たないからなのだと、
アヤノリおじさんのあの時の笑顔がえてくれたような気がしました 





 夏の強い日差しの中、久しぶりにハンチングを被って外出したコチサに、
お日さまはそんな遠い昔の憶に光を当てて浮かび上がらせてくれました 


 ところで、、、


 アヤノリおじさんは、答えはたくさんあると言っていたっけ、、、


 の答えもゆっくり考えてみよーっと 


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