水あめ 

シュークリームの画像


 根っからの食いしん坊なのか、コチサが思い出せる一番古い記憶は、
「視覚」でも「聴覚」でもなく、「味覚」です 





 コチサは、曾おじいちゃん曾おばあちゃんと共に暮らす大家族のもとで生まれました 


 両親、祖父母が揃って田んぼに出る日中は、
この曾祖父母がコチサの面倒を見てくれました 


 そんな曾祖父母ですが、高齢に伴い、コチサがハイハイ歩きから二足歩行になるのに反比例して、
床に伏せることが多くなっていきました 


 曾祖父母の部屋は、いつも二対の布団が敷かれていて、枕元には、
洗面器」「手ぬぐい」「水差し」がきちんと二つずつ置かれていました 


 毎朝、田んぼに出かける前に、お母さんが前日干したふかふかの布団と交換して、
枕元に必要なものを準備していったのです 


 まったく同じ二対のセットがあるのに、コチサは、曾祖父の布団のそばから離れなかったそうです 


 曾祖父の枕元には、曾祖母の枕元にはないものがひとつだけあって、
それが『水あめ』でした 


 なぜ曾祖父が、水あめを必要としていたか(糖分摂取が必要な病気だったか、
ただ単純に水あめが好物だったからか)はわかりませんが、
曾祖父は一度その水あめを割り箸に付けて、長く伸ばした後、
起用にクルクルクルッとまわして、コチサの口に含ませたそうです 


 コチサが、曾祖父の布団のそばから離れなくなったのは、それからのことでした 





 コチサ
「コチサは、なんとなくその布団の部屋の記憶はあるんだけど、
あんまりしっかり覚えていないんだよ。
でも、不思議なことにね・・・


 お父さん
「ん?」


  コチサ
「その水あめが、本当に甘くて美味しくて、
その感動の『』の記憶だけは、今でもはっきりと覚えているんだよ 


 お母さん
「まだ口も聞けずにヨチヨチ歩きだったサチコが、毎朝目を覚ますと、
曾おじいちゃんの枕元に吸い寄せられるように歩いていきおったからね(^_^;)」


 お父さん
「まるで、砂糖をかぎつけ群がるアリのようやったわ 


  コチサ
「曾おじいちゃんのくれる水あめ、身体がとろけるくらい美味しかったんだよ 


 お父さん
「その様子は、マタタビに酔ったのようやったわ 


  コチサ
「お父さん、いい加減にしてよね。アリだとか、ネコだとか 


 お母さん
「お前が食いしん坊になったのは、曾おじいちゃんの水あめがきっかけかも知れへんな(/_;)」





 生まれたばかりのコチサと、その後すぐに召されていった曾おじいちゃん 


 そこには、二人だけが通じるこんな会話があったはずです 





 曾おじいちゃん
「サチコ、水あめ食べ。おいしいで 


  コチサ
「うわぁぁぁぁぁ、何これ?曾じーちゃん、超オイシーよ 


 曾おじいちゃん
「なぁサチコ、お前のこれからの人生は、こんな甘くて美味しいものがたくさんあるんや。
生まれてきたことに感謝して、全ての美味しいものを味わうんじゃよ。
この水あめがお前の人生の最初の美味や 


  コチサ
「じゃぁ、生きていけば、もっともっと美味しいものがたくさんあるんだね 


 曾おじいちゃん
「そうや、こんなのは序の口や。
お前はもっともっとたくさんの美味しいものを食べなくちゃあかん。
人生はしいぞ 


  コチサ
「うん、そうする。
ねぇ曾じーちゃん、コチサ生まれてきてよかったよ。
ありがとう 


 曾おじいちゃん
「ワシがお前にる最初で最後のプレゼントやからな。
喜んでもらえてよかったよ 





 曾おじいちゃんは確かにそう言ったのに・・・


 いまだに、あの『曾おじいちゃんの水あめ』を超える感動の『舌体験』には
出会ったことがない・・・


コメント:

あの頃って、水あめはどこもお年寄りが持っていたよね。
今考えると不思議だね。

子供の頃住んでいた岐阜では、水飴は買うものでした。割り箸の1本を半分に切って最初から飴がついているものを売っている店が10円で、缶の中から飴を割り箸に付けて売ってくれる店は30円でした。私は練り練りが楽しくて、長持ちする10円の店で買っていました。懐かしい。

一番古い思い出の味

ちなみに、私の思い出のお菓子は、カレーせんべいです。くじで、大当たりだと3枚、外れだと1枚でした。

Re: タイトルなし

> あの頃って、水あめはどこもお年寄りが持っていたよね。
> 今考えると不思議だね。

お祭りの屋台や駄菓子屋さんにある「水あめ」とは全く違う、
お口の中でとろける甘さ。
もう一度食べたいなぁ。

Re: 一番古い思い出の味

> ちなみに、私の思い出のお菓子は、カレーせんべいです。くじで、大当たりだと3枚、外れだと1枚でした。

カレーせんべいかぁ。。。
コチサ、駄菓子屋さんでは「さくらんぼ餅」が好きで、
楊枝でひとつひとつ食べてました♪

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