夏とホタルと空財布 

黄色いコートの画像


 空っぽの財布が、「この夏は、去年の服で過ごしてください」と言ってきました 





 コチサ
「ちぇっ! 


 空財布
「まぁお気持ちはわかりますが、ワタシだって、こうも毎日お腹の中が空っぽじゃ、
人生しんどいですよ(^_^;)」


 コチサ
「形が崩れなくて長生きできるから、良いんじゃないの?」


 空財布
「それは商品として売れる前の話です。
いったん売れたからには、ご主人さまにパンパンに膨らませてもらって日々を過ごすのが、
我々財布のせな生涯の目安になるんです(^^)/」


 コチサ
「残念な主人に見初められて、がっかりな人生で済まなかったね 


 空財布
「めっそうもないです。
ただワタシはご主人さまの為にも、
ワタシの腹が膨れた方が良いと言っている次第でして・・・(ー_ー)!!」


 コチサ
「わかってるよ。
コチサも最初から、今年の夏は服をめてるし・・・


 空財布
「それにしても、ご主人さまは、を買うのが好きでございますね(*^^)v」


 コチサ
「それはね・・・





 昔まだ、コチサが人間になる前、『ホタルのコチサ』だった頃の話です 


 ちょうど今頃の季節は、ホタル的には心が開放される待ちに待った季節でした 


 人間で言うところの「おり」のような季節です。


 ホタル時代もコチサは、香川県に生息していました 


 夜が長くなって、田んぼの仕事も一区切り付いたこの時期、
村人たちは、夕涼みがてら「ホタルの森」に足を運んで来てくれます。


 コチサたちホタルは、目いっぱい息を吸い、
少しでも身体を大きく見せるようにしながら、お尻をらせて飛び回ります 





 村の子ども①
「わぁ~キレイ。
ねぇ見て見て、あのホタルが一番大きく光ってるよ 


 村の子ども②
「こっちのホタルもすごいよ 


 村の子ども③
「ほんとうにホタルってキレイだね 





 そんな黄色い歓声を背に受けて、
コチサたちホタルは、よりいっそう熱が入りび回ります 





 村の子ども①
「あれ?
へなちょこホタルがいる 


 村の子ども②
「ほんとだぁ、飛び方もよろよろだし、光もちっちゃい 


 村の子ども③
「もう息があがったみたい、あー落っこちた 





 空財布
「もしかして、その「へなちょこホタル」がご主人さまだったのですか?(-"-)」


 コチサ
「コチサのせいじゃないんだよ。
もともとオスは発光部を二つも持っているけど、メスは一個しか持ってないし、
運動力もオスの方があるから、強く飛べて身体も大きいんだよ。
でも村の子どもには、そんな生物学的なことは関係なくて、
ただ大きく光っていれば、もてはやされるんだ 


 空財布
「で、そのことがトラウマで、
人間になってから、カラフルな洋服で着ってしまうということですか?」


 コチサ
「オスなんて、変な顔をしていても、
身体が大きくて強い光でキラキラ光るから、目立って注目されてさ・・・


 空財布
「まぁ、人間にホタルの顔の美醜はわかりませんからね(ーー;)」


 コチサ
「でもトラウマっていうよりも、やっぱりホタル時代の習性かな。
ついこの時期になると、色やかな服を身に纏いたくなるのは・・・


 空財布
「ホタル時代に果たせなかった夢を、
人間になって果たそうっていう感じですかね(/_;)」


 コチサ
「誰だってそういうもんじゃないの?
その反対に、ホタル時代にちやほやされてたオスたちは、
人間になったら、センスのかけらも無い格好で歩いてたりしているし 





 畑仕事が一段落した今の時期、やっぱり「ホタルの森」は今も、
子どもたちの黄色い声で賑わっているのかな? 


 そしてそんな中、
思うように身体が光らないメスたちは、い思いをしているのかな?


 でもね、人間に生まれ変わったら、
オスよりメスの方が、洋服とかはきらびやかなものがたくさんあって、
楽しく自己主張が出来るんだよ 


 だから、それまでの辛抱だよ。


 ただ人間社会には、そうするためには、
先立つもの」というヤツが必要なんだ 


 これについては、また今度、教えてあげるね 


ゲンジボタルの画像
「コチサの故郷では、ちょうど今の時期、ゲンジボタルが舞ってます





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