昼下がりの散歩道 

田んぼのあぜ道の画像


 気候が良くなると、に出たくなるのは、大人も子どもも同じです 




 ただ、大人子どもが違うのは・・・
 大人になれば、心地良いお日さまの温もりに抱かれながら散歩するのは、
ひとりでも気分の良いものですが、
子どもは、ひとりでの散歩の楽しさがわからないことです 





 幼少コチサ
「ねぇ~、おかーさん。散歩、行こうよぉ~ 


 お母さん
「今、忙しいから、ひとりで遊んできぃや 





 幼少コチサ
「で、誰も一緒に行ってくれないから、お前と歩いているんだよ 


 シロン
「光栄です。サチコお嬢さまとお散歩なんて、年に数回あるかないかですから」


 幼少コチサ
「まぁ、コチサも普段はしい身分だからね 


 シロン
「普段は、奥さまや旦那さま、それに園子お嬢さま、浩二おぼっちゃまなどに、
お散歩にお連れいただいておりますから、お気を使わずに」


 幼少コチサ
「で、最近どうよ?」


 シロン
「どうよと申されますと?」


 幼少コチサ
「食事とか満足してる? 」


 シロン
「もちろん、毎日美味しくいただいておりますが・・・」


 幼少コチサ
ウナギとか、食べたくない?」


 シロン
「ウナギですか?・・・わたしめは、そのようなものはあまり・・・」


 幼少コチサ
「コチサは食べたいよ。でも、なかなかお願い聞いてくれないんだよ。
今日散歩してたら、シロンがウナギを食べたいと大れしたとか言っていい? 


 シロン
「めっそうもないことでございます」


 幼少コチサ
「なんかさぁ~ 


 シロン
「はい?」


 幼少コチサ
「人生ってさぁ、しいよね 


 シロン
「そうでございますか? わたしめにはよくわかりかねますが・・・」





 で、今日も夕食は大根だ 


 お母さん
「お父さん、今日はサチコがシロンと散歩したんですよ(#^.^#)」


 幼少コチサ
「まぁ、められるほどのことでもないけどね 


 お父さん
「当たり前や、他の家族はいつもやっとる。お前はたまたま気まぐれでしたことや。
どうせ、ひとりで外に出るのがつまらんかっただけなんやろ 


 幼少コチサ
「(ず、図星(/_;))お、お父さん、失敬だなぁ・・・
それと、シロンがつくづく言ってたよ。たまにはウナギが食べたいって 


 お父さん
「ほう、お前もシロンと話せるんか。実は父さんもやで。
父さんには、たまには晩酌を二級酒から特級酒にして欲しいと言うとったで 


 お母さん
「あんたらバカなこと言うてないで、さっさとご飯済ませてや 





 そんなコチサも歳月を重ねて、中学生になった頃・・・


 やっぱり、陽気に誘われて・・・でもやっぱり、ひとりの散歩は嫌で・・・





 シロン
「サチコお嬢さまとのお散歩は、本当に久しぶりでございます」


 コチサ
「中学生にもなると、付き合いが多くて、なかなかしいんだよ 


 シロン
「社交的な事は良いことでございます。
最近は園子お嬢さまも、浩二おぼっちゃまも、お友だちと過ごす時間が多くなられて・・・
マスダ家は人さまに愛される良き家族にございます」


 コチサ
「まぁね(*^^)v」


 シロン
「わたしめは、この良き家族にお仕えすることが出来てつくづく幸せにございます」


 コチサ
「シロン、随分おしゃべりになったね。
喋るのに気を取られて、歩くのが遅くなってるよ 


 シロン
「それは、サチコお嬢さまが大きくなられて、足が長くおなりになって、
わたしめの短い足では追いつかなくなっているからでございます(ハァハァ)」





 人間の6倍の速さで年を取るといわれる小型犬 


 シロンは、もうこの時は、ほぼ全力でコチサの歩調に合わせていたのかもしれません 


 まるでホンモノの執事のように、コチサの気まぐれに文句ひとつもつけずに、
いつもコチサの気分を良くすることばかりをえ続け、
息遣いの荒くなっていることを悟られる事は、自分の非であるかのように、
シロンは、ポーカーフェイスをい続けていました 


白い犬の画像






 ある日の散歩の時・・・


 コチサ
「シロン、お前、調子がいんじゃないの? 最近、ご飯も残すし 


 シロン
「絶好調でございます。
ただ先日、お嬢さまのおかげでウナギなどという高級品をいただいたので、
胃が驚いてしまったのかも知れません 


 コチサ
「じゃぁ、後で、胸やけにパンシロンを持ってきてあげるよ 


 シロン
「♪パンシロンでパン・パン・パン♪ でございますね 


 コチサ
「そう、♪パンシロンでパン・パン・パン♪





 お前がはじめて我が家にやってきた時、真っ白なお前に、
お母さんが「シロと言う名前にしましょう」と言ったんだ 


 でもコチサが、テレビでやっていた「胃薬パンシロン」のCMを見て、
シロン」にしようと言ったんだった 


 ♪パンシロンでパン・パン・パン♪は、その当時、
誰もが知っているCMソングのフレーズだった 





 シロン
「サチコお嬢さまは、わたしめの名付けの親でございます 


 コチサ
♪パンシロンでパン・パン・パン♪





 そして数日後。。。


 シロンは、パンシロンを飲んでも元気に戻らない体になって召されていった 





 シロン、お前が冗談を言ったのを聞いたのは、あれが最初で最後だったよ 


 十数年間、いつもお味噌汁のかけご飯しか食べたことが無いくせに、
ウナギを食べて胃を壊したなんて・・・


 きっと、コチサも、うすうすお前の最期を感じていたから、そう言わせたんだね 


 家族の誰よりも一緒に散歩をした回数が少なかったし、まぐれでしか遊ばなかったし・・・


 だけど、えていて欲しくて、幼少時代の「ウナギの話」をお前に言わせたかったんだね 


 パンシロン で パン・パン・パン



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