おはなしピエロ公演-「三輪車のしんのすけ」
「今日は、もう乗らなくなった三輪車のおはなしでーす♪」
今回の写真はほぼ全部ブレてますぅ・・・(/_;)
おはなしピエロ公演2016年7月のご報告です

毎回毎回園児たちの理解力は進歩をしていくので、今回は少しストーリー性のあるおはなしにチャレンジです

今回のおはなしは…

二輪車の補助が外れて自由に乗れるようになった5歳の女の子「ユメカちゃん」は、行動範囲も広がり毎日が楽しそうです。
数年前まで、三輪車に乗って毎日お庭を楽しく遊んだことなどすっかり忘れています。
その姿が「クレヨンしんちゃん」の「しんのすけ」に似ていたから、三輪車に「しんのすけ」という名前をつけたことまで覚えていません。
ある夜、ユメカちゃんの夢の中に「しんのすけ」がやってきました。
ユメカちゃんは三輪車は庭の倉庫の中にしまってあると思っていたけど、そうじゃありませんでした。
新しい自転車が家に届いた日、ユメカちゃんはそれに早く乗りたくて、しんのすけを倉庫にしまうのももどかしく、倉庫の裏に放ったらかしにしたままだったのです。
雨風に打たれたしんのすけは体中が腐り、いよいよ壊れてしまうので「さよなら」の挨拶にやって来たのです。
「遊んでくれてありがとう。
一緒に三輪車で走り回った思い出は一生忘れないよ」
そう言ってにっこり笑って消えていきました。
翌朝、ユメカちゃんが慌てて倉庫の裏に行ってみると、壊れて鉄の塊になった「しんのすけ」の姿がありました…
「しんのすけ」の事をすっかり忘れてしまっていた自分に呆然とします。
そして数日後、自転車で公園を走っているユメカちゃんの横を、三輪車の女の子が通り過ぎました。
その姿を見たら、ユメカちゃんはまたしんのすけの事を思い出して涙が出て来ました。
その時でした。
しんのすけ
「ユメカちゃん、ユメカちゃん、ボクだよボク」
ユメカちゃん
「えっ?
しんのすけ?」
しんのすけ
「そう、ボクだよ。
ボクの心は今、この三輪車に入っているんだ。
この女の子はアカネちゃんていうんだ。
今は2歳だけどなんか少しユメカちゃんに似ているんだ。
ボクはこれから、あかねちゃんの三輪車になって元気に過ごすから大丈夫なんだよ。
だからユメカちゃんもう泣かないで」
ユメカちゃん
「そうなんだ。
しんのすけの心はあの壊れた三輪車から、このあかねちゃんの三輪車に移ったんだね。
良かった。
…あっそうだ。
ねぇアカネちゃん。
その三輪車の名前はなんて言うの?」
アカネちゃん
「えー、お姉さん誰?
なんでアカネの名前を知っているの?
・・・それにこの三輪車は昨日おばあちゃんが買ってくれたばっかりだから名前はまだ付けてないの?」
ユメカちゃん
「ふーん、そうなんだ。
その三輪車の形ってなんかの漫画の絵に似ていない?
こんな感じで」
アカネちゃん
「あーそれクレヨンしんちゃんのポーズだ。
本当だ、なんかこの三輪車の形に似ているね。
そうだアカネ、この三輪車にしんのすけって名前を付けよう。
お姉さんありがとう」
そしてアカネちゃんの乗った三輪車は、ユメカちゃんの横を通り過ぎていきました。
通り過ぎるとき、ユメカちゃんとしんのすけは、お互い顔を見合わせて「やったね(ガッツポーズ)」と合図を送り合いました。
「ユメカ、自転車の運転上手でしょ?」
「ん? なんか声が聞こえる・・・」
「そう言えば、ユメカの三輪車はどうしたっけ・・・」
「ボクだよ、ボク。しんのすけだよ」
「クレヨンしんちゃんのしんのすけに似てる、って、ユメカちゃんがボクの名前をつけてくれたんだよ」
「今日はユメカちゃんにサヨナラを言いに来たんだ・・・」
「イヤだよ、お別れなんて(涙)」
「うん、この三輪車、しんのすけって名前にするね・・・by アカネちゃん」
「やったね♪」
少し長めのひねりのあるおはなしでしたが、園児たちはしっかり付いてきてくれました

それぞれの園児が、それぞれのシーンで、それぞれの反応を示してくれます

ひとつのシーンで皆が同じ反応を示さないことが、園児と言う可能性を秘めた子どもたちの大きな特徴です

最近ではそれが、小さな子どもたちにお芝居を披露させてもらう醍醐味だと感じています

今回のおはなしはそれが如実にあらわれるおはなしで、またまたコチサが勉強をさせていただいた回となりました

ちなみに今回は、展開もスムーズでセリフ忘れもなく、ほぼ完ぺきな進行となりました


どうやら演じるコチサは「起承転結」がはっきりしているおはなしが好きなようです

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