おはなしピエロ公演-「福豆」
「節分には歳の数だけ豆を食べれば、その年は良い一年になる」
…5歳になるツカサくんはその言い伝えを頑なに信じています。
だからおばあちゃんに80粒の豆を用意して「早く食べて」と急かせます。
病気がちなおばあちゃんに、今年こそは元気な一年を送ってもらいたいというツカサくんの思いなのです。
しかし元気のないおばあちゃんは79粒を食べたところで「もう食べられない」と言って寝てしまいました。
ツカサくんは焦りました。
「どうしよう?
神さまに見つかる前にこの一粒をなんとかしなくては」
そう考えたツカサくんは、豆を庭に埋めてしまいました。
翌朝、ツカサくんが起きてくると昨日埋めた豆は芽を出し、どんどんどんどん天に昇って行っています。
ツカサくんは慌てました。
「きっと食べてもらえなかった豆が怒って、空の上の神さまに言いつけに行ったんだ」
ツカサくんはそう考えました。
「埋めたのはボクなのに、もしかしたら豆はおばあちゃんが食べなかった事が悪いと言い付けるかもしれない」
ツカサくんは思わず伸び続ける枝に飛びつき、豆の先頭を追いかけます。
「豆が空の上の神さまのところに行く前に追いつかなくては」
必死で追いかけますが、ツカサくんが枝の最先端に着いたとき、そこはもう空の神さまの世界でした。
「間に合わなかった…きっと豆は神さまに言いつけちゃったんだろうな」
がっかりするツカサくんですが、このままではいけません。
こうなったら直接神さまと話しをして誤解を解かなくては…
「豆を埋めたとのはボクで、おばあちゃんは何にも悪くはありません」
そして
「おばあちゃんは頑張って79個の豆を食べたので、どうか今回だけは80個の豆を食べたことにしておばあちゃんに「福」を下さい。
おばあちゃんを元気なおばあちゃんに戻してください」
そう言わなくちゃなりません。
恐る恐る空の神さまの世界へ一歩を踏み入れるツカサくん。
そこに、
「なんか人間の臭いがするぞ。
この神聖な神さまの世界にまさか人間が来たんじゃないだろうな」
という恐ろしい声が聞こえてきました。
さぁ、ツカサくんはどうするのでしょう?
「おばあちゃんは80粒、年の数だけ豆を食べるんだよ」
「77~、78~、79~」
「もうお腹いっぱいだよ~」
「79粒食べて、おばあちゃんは寝てしまいました」
「そうだ、この一粒はお庭に埋めちゃおう」
「あっ、昨日の豆が芽を出して伸びてる」
「枝に飛びつくツカサくん♪」
「どんどん上っていきます♪」
「どんどん上へ~♪(コチサ、浮いてます(#^.^#))」
「着いた、神様の世界だ・・・」
「神さま、豆を埋めたとのはボクです。おばあちゃんは何にも悪くはありません」
もうこの時期になると、少しストーリー性のある話しをしても園児たちはみんな付いてきてくれます


自ら解決策を考え、大きな声でコチサに提案してくる子もいます

そんな会話を吸い上げながら、あらかじめ決めていたストーリーへ誘導していきます

そうすることで園児たちは物語にどんどん入って来てくれます

登場人物が悪さをすると、室内に割れんばかりのブーイングが響きます

良い方向に話しが進むと、満面の笑顔に包まれます

そしてハッピーエンドの大団円

園児たちは拍手をして喜んでくれます

ハイタッチの力も力強くなって、園児たちの成長を感じます

それもそのはず、5歳児たちは、あと一回「おはなしピエロ」を聞くと小学生になります

たくさん聞いてくれたお話しピエロの物語…

小学校に行っても覚えていてくれる話がひとつでもあれば嬉しいなと、毎年この時期は少しだけ感傷に浸ってしまう季節です


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